SESの給料は上がらない!?理由と年収アップの方法

IT産業を支えるSES。若手や新卒のエンジニアが多くいる仕事です。しかし、ネットで検索すると、「SESは年収が低い」「しかも上がらない!」なんて、若手が不安になってしまう噂も。実際のところ、SESの給料ってどうなんでしょうか?

そこで今回は、経済産業省発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」を参照しながら、SESの給料の実態についてまとめてみました。

SESの給料の相場って?

SESの給料についての公的なデータは、現在のところ出ていません。
一般的には250万~300万円前後からスタートし、10年働いて400万円を超えてくる、というイメージではないでしょうか。実際働かれている方の実態としてもこのあたりの年収帯が多いです。

一方で、ITエンジニア全体としての平均をみてみましょう。

SESが主に担当する領域である、「IT運用・管理」「IT保守」の平均は約590万~610万円。雇用形態に関わらず平均を出すと、SESの実際の水準よりかなり高い額になりますね。職種としてはこのラインを狙えるはずですが、どうしてSESの給与は低いのでしょうか。

SESの給料が低い理由

  • 業界構造的に下請けにあたるため

SESは、基本的に下請けの案件を担当するお仕事です。業界の構造的に、発注した企業から元請け→一次請け→二次請け→…といくつもの企業を経てやっと所属のSES企業に案件が回ってくる、という状態が一般的。そのため、間に企業を挟んだ分だけマージンを取られ、SESの手元に給料として渡される頃には、発注元が出した額から大幅に下がってしまいます。

  • スキルが未発達のエンジニアが多いため

SESは、エンジニア職の中で唯一、「完全未経験でもなれる職種」です。いわば、エンジニアとしての最初のステップ。文系や別業界からの転職者など、まだスキルが発達していないエンジニアが多くいる層がSESです。ITエンジニア職は他の業界に比べて、スキルレベルによって大きく給与が変わりますので、SESはおのずと平均給与が低くなります。

給与水準を決める要素

年収アップの手がかりを探るために、ITエンジニアの給与決定にはどのような要素が重視されるのかをみていきましょう。

・スキルレベルを最も重視

まず、一番に挙げられるのがスキルレベルです。具体的には、「設計力」「開発力」「スピード」などを総合的に見て判断されます。

平均年収とスキルの関係をグラフで見ると、ITエンジニアは中堅人材レベルまでは給与の上がり幅が小さくなっています。年収アップを目指すのであれば、チームリーダーを務められる程度の高いレベルまでスキルを磨くことが重要です。

ただ、評価基準を明確に定めていない企業も多く、どのようにすればスキルレベルが上がったとみなされるのかが曖昧な場合も。そんなときに指標として信頼されるのが資格です。国家資格の「基本情報技術者」など、取得しているとスキルレベルのアピールに非常に効果的です。

・マネジメント能力があるか

次に挙げられるのが、マネジメント能力です。現場での統率力ももちろんですが、役職についているかついていないかでも平均年収に差が出てきます。

職種別で見ていくと、IT技術スペシャリストよりも管理職系(プロジェクトマネージャーやプロデューサー)の方が平均年収が高い傾向にあります。

・年功はほぼ考慮されない

反対に、考慮されにくいのが年功です。

グラフを見ても、年功は給与水準に影響を与える要素の中でも下位に位置付ける企業が多いですね。年功を重視する企業は、そうでない企業に比べて転職していく社員が多いというデータもあります。年功序列は息苦しいという風潮がみられる昨今らしい結果ではないでしょうか。IT業界は、他の業界に比べて特に能力・成果主義な傾向が強いですので、若い方でも評価されるチャンスは十分にあります。

年収アップのためには、スキルアップが重要

これまで述べてきた要素をまとめると、年収アップのためには以下のような選択肢が考えられそうです。

  • スキルアップして高給案件を勝ち取る
  • マネジメントポジションを目指す
  • 自社開発や、より元請けに近い会社に転職する
  • フリーランスになる

SES、といえば「転職」を連想される方が多いかもしれませんが、安易に転職したり、独立したりするのはリスクもあります。現在のスキルレベルが低い場合、より劣悪な環境や低い給料で働かざるを得ないことも。フリーランスは、自己研鑽はもちろん、営業も自分で動いていく必要があり、余裕がなくなる可能性があります。働く環境を変える前に、まずは自分の現在のスキルレベルや市場価値について考えてみてもいいかもしれません。

市場価値や評価を上げるためにも、スキルレベルを上げるためにも、日々のインプットが重要。実際にグラフを見ても、スキルレベルが高い層は、勉強時間を確保して自己研鑽をしていることが示されています。スキルレベルが高いほど残業も多くなりますが、その中でもしっかりと時間を確保しているのがわかりますね。

年収別に見ても、年収が高い人ほど勉強時間を多くとっています。努力した分しっかりと結果に反映されると思えば、日々の勉強も頑張れるかもしれません。

まとめ

以上、SESの給料の実態についてまとめてきました。いかがでしたか?スキル次第で可能性は無限大。給料が低いといわれるSESでも、スキルが高い人は1,000万円以上の年収をもらえる可能性もあります。ぜひスキルアップして、年収アップを目指しましょう!